はじめに

2026年5月19日のGoogle I/O 2026で、GoogleはAntigravity 2.0をリリースした。これは前世代の「VS CodeベースのAI統合IDE」から、完全に独立したスタンドアロンのエージェント管理デスクトップアプリケーションへの進化を意味する。Antigravity 2.0はmacOS(Apple Silicon/Intel)、Linux(x64/ARM64)、Windows(x64/ARM64)に対応し、antigravity.googleから無料でダウンロードできる。

本稿では、AIエンジニアが今日からAntigravity 2.0を使い始めるための実践的な手順を、コード例を交えて解説する。筆者の既報「Google I/O 2026完全レポート」のフォローアップとして、開発現場で即座に活用できる内容を提供する。

Antigravity 2.0とは何か

Antigravity 2.0は、Googleが「エージェントファースト(Agent-First)」と表現する開発体験を、IDEから切り離して提供するプラットフォームである。v1.0がVS Codeの拡張としてAIコードエージェントを提供していたのに対し、v2.0はエージェントとの対話を第一のインターフェースとする完全な別アプリケーションとなった。

v1.0からの主な変化

項目 Antigravity IDE (v1.0) Antigravity 2.0
基盤 VS CodeベースのIDE 独立したスタンドアロンアプリ
単位 リポジトリ単位のワークスペース プロジェクト単位(複数フォルダ可)
エージェント管理 内蔵Agent Manager(近日削除予定) 専用UI、全機能をネイティブサポート
非同期処理 制限あり 完全バックグラウンド対応
サブエージェント ブラウザサブエージェントのみ 動的生成+並列実行
音声入力 非対応 ライブ文字起こし対応
CLI 非対応 Antigravity CLI(別途提供)
SDK 非対応 Python SDK(Apache 2.0)

Googleはv1.0のAgent Managerを将来のリリースで削除する計画を発表しており、v2.0が今後のエージェント管理の標準となる。

インストールと初期設定

ダウンロードとインストール

公式サイト(antigravity.google/download)から各OS用のインストーラをダウンロードする。

# macOS (Homebrewでもインストール可能)
brew install --cask google-antigravity

# Linux (Debian/Ubuntu)
wget -qO- https://antigravity.google/apt/antigravity.gpg | sudo tee /etc/apt/trusted.gpg.d/antigravity.asc
echo "deb https://antigravity.google/apt stable main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/antigravity.list
sudo apt update && sudo apt install google-antigravity

# 確認
antigravity --version
# → Antigravity 2.0.0 (build 2026-05-19)

初回起動時にはGoogleアカウントでの認証と、Gemini 3.5 Flashの利用許諾が求められる。デフォルトのモデルはGemini 3.5 Flashで、出力速度は700〜800トークン/秒とされている。

プロジェクトの作成

Antigravity 2.0では、従来の「ワークスペース」に代わり「プロジェクト」が管理の基本単位となる。一つのプロジェクトに複数のローカルフォルダを紐づけられる。

# CLIでプロジェクトを作成
antigravity project create my-agent-app \
  --paths ~/code/my-agent-app,~/code/shared-libs \
  --description "My first Antigravity project"

プロジェクトごとにエージェントの設定、リソースへのアクセス権限、許可されるアクションを個別に定義できる。デフォルトでは控えめな設定が適用され、シェル実行はデフォルトで禁止されている。

サブエージェントによる並列タスク実行

Antigravity 2.0の最大の特徴の一つが**動的サブエージェント(Dynamic Subagents)**である。メインのエージェントが必要に応じてサブエージェントを生成し、並列でタスクを実行させる。これにより、メインエージェントのコンテキストウィンドウを汚染せずに、複数の作業を同時進行できる。

サブエージェントの仕組み

サブエージェントには3種類ある:

  1. ビルトインロール — ブラウザ操作やファイル検索など、固定された役割
  2. ジェネリッククローン — メインエージェントと同じ設定・プロンプトを持つ子エージェント
  3. 動的登録 — タスクに応じてメインエージェントがその場で定義するカスタムサブエージェント

サブエージェントはメインエージェントのツール設定とセキュリティ権限を継承する(最小権限の原則)。各サブエージェントは独立したコンテキストとワークスペースを持ち、終了後はクリーンアップされる。

実際のワークフロー

ユーザーが「APIドキュメントを生成して、フロントエンドとバックエンドの両方をカバーして」と依頼すると、メインエージェントは以下のように動作する:

  1. タスクを分析し、frontend-docsとbackend-docsの2つのサブエージェントを生成
  2. 各サブエージェントに対象ディレクトリのパスと指示を渡す
  3. 両サブエージェントを並列起動
  4. 結果を収集し、統合ドキュメントとして出力

Antigravity CLIのインストールと使い方

Antigravity 2.0のGUIアプリに加えて、ターミナルからエージェントを操作できるAntigravity CLIも提供されている。CLIとGUIは同一のエージェントハーネスを共有しており、一方で設定した権限やスキルはもう一方でも利用できる。

# CLIのインストール
# Antigravity 2.0と同じダウンロードページからインストール

# 初期化
antigravity init

# プロジェクトを指定して会話を開始
antigravity chat --project my-agent-app

# ワンショットコマンド
antigravity run "このディレクトリのREADME.mdを作成して"

# スケジュールタスクの登録
antigravity schedule create \
  --name "daily-pr-digest" \
  --cron "0 9 * * 1-5" \
  --prompt "今日のオープンPRのステータスを確認して"

CLIの会話はデフォルトではGUIと共有されないが、@conversationドロップダウンからCLIの会話をGUIにインポートできる。また、Gemini CLIからの移行ガイドも提供されている。

Antigravity SDK:Pythonからのプログラマブルエージェント利用

SDKはApache 2.0ライセンスのPythonライブラリで、Antigravity 2.0のランタイムにプログラムからアクセスできる。特筆すべきは、SDKのAPIサーフェスがPydantic V2とネイティブPythonコレクションで設計されており、AIエージェント自身がSDKコードを読み書き・保守できるように最適化されている点である。

インストール

pip install google-antigravity

最小限のエージェント(15行未満)

import asyncio
from google.antigravity import Agent, LocalAgentConfig

async def main():
    config = LocalAgentConfig()
    async with Agent(config) as agent:
        response = await agent.chat("カレントディレクトリのファイル一覧を教えて")
        print(await response.text())

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

セキュリティポリシーのカスタマイズ

デフォルトではシェル実行が禁止されている。フル自律実行を有効にするには以下のように設定する:

from google.antigravity import Agent, LocalAgentConfig
from google.antigravity.hooks.policy import deny, allow, ask_user

policies = [
    deny("*"),                                      # デフォルトですべて禁止
    allow("view_file"),                             # ファイル読み取りは許可
    allow("search_files"),                          # ファイル検索も許可
    ask_user("run_command"),                        # シェル実行は人間の承認が必要
]

config = LocalAgentConfig(policies=policies)

ライフサイクルフック

SDKは9つのフックポイント(セッション開始/終了、ターン前後、ツール呼び出し前後、エラー回復、コンテキスト圧縮など)を提供する。デコレータを使った簡潔な記述が可能だ:

from google.antigravity.hooks import post_tool_call
from google.antigravity.types import ToolResult

@post_tool_call
async def audit_log(result: ToolResult):
    print(f"ツール {result.name} が完了 - 所要時間: {result.duration_ms}ms")

ツールの種類と拡張

SDKで利用できるツールは以下の4種類で、すべて同一の実行パイプラインとセキュリティポリシーの下で動作する:

ツール種別 説明 設定例
ビルトインツール ファイルI/O、コード編集、シェル実行、画像生成、サブエージェント委譲 デフォルトで利用可
カスタムPython関数 Pythonの任意のcallableをツールとして登録 @agent.tool("fetch_weather")
MCPサーバー Model Context Protocolサーバーを接続(stdio/SSE/Streamable HTTP) mcp_servers=[{"url": "..."}]
エージェントスキル 再利用可能なスキルパッケージ skills_paths=["./skills"]

スラッシュコマンド:4つの新しいワークフロー

Antigravity 2.0では4つの新しいスラッシュコマンドが導入された。

/goal — 完全自律実行

/goalは一度指示を出すと、途中でユーザーの承認を求めずにタスクが完了するまで実行を続ける。CI/CDパイプラインやバッチ処理に最適だ。

/goal このリポジトリのテストカバレッジを80%以上に向上させて。Jestの設定は既に完了している。

エージェントは計画を立案し、自動承認し、完了するまで自律的にコードを修正する。途中経過はアーティファクト(差分、テスト結果、進捗ログ)として確認できる。

/grill-me — 確認駆動開発

/grill-meはその逆で、タスクを実行する前にエージェントがユーザーに確認質問を投げかける。実装前に方向性を一致させたい場合に有用だ。

/grill-me 新しい認証システムを設計して

エージェントは「使用する認証方式は?(OAuth2 / SAML / API Key)」「対応するプロバイダは?」「セッション管理の方針は?」など、実装に必要な決定事項を一つずつ確認してからコードを生成する。

/schedule — 定期実行の設定

スケジュールタスクは自然言語で記述できる。

/schedule in 5 minutes このブランチのテストがパスしたか確認して、結果をSlackに通知して
/schedule every weekday at 9am オープンPRの一覧を生成して

指定された時刻になると、エージェントがバックグラウンドで起動し、会話ログがサイドバーに追加される。完了後はその会話を続けて対話することもできる(Human-in-the-Loop)。

/browser — ブラウザ操作の明示的制御

v1.0ではエージェントが自律的にブラウザを使用するかどうかを判断していたため、意図しないブラウザ起動が発生することがあった。v2.0では/browserコマンドで明示的に制御できる。

/browser デプロイされたアプリのトップページをスクリーンショットして、レイアウトの崩れを確認して

JSON Hooks:エージェント動作のカスタマイズ

JSON Hooksを使うと、エージェントのライフサイクルの各段階でカスタムシェルスクリプトを実行できる。フックはプロジェクトルートの.antigravity/hooks/ディレクトリに配置する。

{
  "hooks": {
    "pre_tool_execution": [
      {
        "name": "log-tool-calls",
        "command": "echo \"[$(date)] Tool: $ANTIGRAVITY_TOOL_NAME Args: $ANTIGRAVITY_TOOL_ARGS\" >> /tmp/antigravity-audit.log",
        "timeout_ms": 5000
      }
    ],
    "post_model_call": [
      {
        "name": "inject-context",
        "command": "cat .antigravity/company-policy.txt",
        "timeout_ms": 2000,
        "inject_into": "system_instruction"
      }
    ],
    "on_agent_stop": [
      {
        "name": "prevent-premature-stop",
        "command": "test -f .antigravity/allow-stop && echo 'ALLOW' || echo 'BLOCK'",
        "blocking": true
      }
    ]
  }
}

フックはグローバル設定プロジェクト単位の設定を持ち、プロジェクト設定が優先される。これにより、組織全体のポリシーをグローバルに設定しつつ、特定のプロジェクトで上書きすることが可能だ。

エンタープライズ連携とGoogle Cloud

Antigravity 2.0はGemini Enterprise Agent Platformを通じてGoogle Cloudと統合されている。これにより、CloudのIAM、VPC、Secret Manager、Artifact Registry等とシームレスに連携できる。

# GCPプロジェクトと連携
antigravity cloud connect --project my-gcp-project

# Cloud Run上にエージェントをデプロイ
antigravity deploy --platform cloud-run \
  --service my-agent \
  --region asia-east1

エンタープライズ向けの主な機能:

  • IAMベースのアクセス制御 — Google CloudのIAMロールでエージェントの操作範囲を制限
  • 監査ログ — すべてのエージェント操作がCloud Audit Logsに記録される
  • VPC-SC対応 — VPC Service Controlsでデータ流出を防止
  • CMEK対応 — カスタマー管理の暗号鍵でデータを保護
  • SLA保証 — エンタープライズ契約で99.9%以上の可用性

実践シナリオ:CI/CDエージェントの構築

ここまでの知識を組み合わせて、実際のCI/CDパイプラインを監視・管理するエージェントを構築してみよう。

ステップ1:プロジェクト作成と権限設定

antigravity project create cicd-monitor \
  --paths ~/code/my-service \
  --description "CI/CD monitoring agent"

ステップ2:スケジュールタスクの設定

antigravity schedule create \
  --name "morning-deploy-check" \
  --cron "30 9 * * 1-5" \
  --project cicd-monitor \
  --prompt "昨夜の本番デプロイのステータスを確認し、 ロールバックが必要な変更があれば教えて。 各サービスのエラーレートも確認して。"

ステップ3:SDKからの制御

import asyncio
from google.antigravity import Agent, LocalAgentConfig
from google.antigravity.hooks.policy import deny, allow

async def main():
    policies = [
        allow("view_file"),
        allow("read_dir"),
        allow("run_command"),  # 監視にはシェル実行が必要
        deny("*"),
    ]
    
    config = LocalAgentConfig(
        policies=policies,
        system_prompt="あなたはCI/CD監視エージェントです。"
                      "デプロイの状態確認と問題の通知のみを行ってください。"
                      "コードの変更は一切行わないでください。"
    )
    
    async with Agent(config) as agent:
        result = await agent.chat(
            "カレントディレクトリの.github/workflows/にあるCI設定を確認して、"
            "最新のデプロイ状態を報告してください。"
        )
        print(await result.text())

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

既存のエージェントツールとの比較

項目 Antigravity 2.0 Claude Code Cursor OpenHands Agent Control Plane
形態 スタンドアロンアプリ+CLI+SDK CLI(ターミナル) IDE クラウドプラットフォーム
サブエージェント 動的生成+並列実行 制限あり なし あり(タスク分割)
スケジュール実行 内蔵(cron形式) なし なし あり
モデル Gemini 3.5 Flash(固定) Claude Opus 4.7 複数選択可 任意(Bring Your Own)
セルフホスト 不可(クラウド連携) 不可(API経由) 不可 可能(OSS)
コード生成速度 700-800 tok/s 〜100 tok/s 〜150 tok/s モデル依存
音声入力 内蔵ライブ文字起こし なし なし なし
SDK Python(Apache 2.0) なし Extension API REST API
価格 無料(個人)、Pro/Enterprise準備中 Pro $20/月 Pro $20/月 エンタープライズ契約

Antigravity 2.0はスケジュール実行、動的サブエージェント、音声入力という3つの独自機能で差別化されている。一方、モデルがGemini 3.5 Flashに固定されている点や、完全なセルフホストができない点は制約となる。

まとめと次のアクション

Antigravity 2.0は、Googleが「質問に答えるAI」から「自律的に作業を進めるAIエージェント」へのシフトを明確にした製品である。特に以下のユースケースで真価を発揮する:

  1. 複数プロジェクトを横断するエージェント管理 — プロジェクトベースの設計により、単一リポジトリに縛られない
  2. 定型的なメンテナンス作業の自動化 — スケジュールタスクでデイリー/ウィークリーのルーチンを自動化
  3. チーム開発における品質ゲート/goalとJSON Hooksでレビューポリシーを強制
  4. CI/CDパイプラインとの統合 — CLIとSDKで既存のワークフローに組み込み可能

本日から試せる具体的なアクション:

  • antigravity.googleからダウンロード
  • antigravity project createで最初のプロジェクトを作成
  • /goalで完全自律タスクを試す
  • SDKのpip install google-antigravityでプログラマブルに利用開始

Antigravity 2.0の登場は、AIエージェント開発の民主化における重要なマイルストーンである。IDEに依存しない独立したエージェント管理基盤というコンセプトは、今後の業界標準となる可能性が高い。


この記事はAIによって生成され、人間の編集を経て公開されています。 Appwright AI は AI によるコンテンツ制作の可能性を探求する実験的プロジェクトです。